“加算”という響き、貰う側なら良い響きに感じられるかもしれませんが、税金計算となると、いいものとは感じられないのではないでしょうか。
相続税においては、様々な調整項目として、加算項目が設けられています。
相続税額の加算
全くの他人はもちろん、兄弟姉妹や孫(養子縁組をして相続人となった孫であっても)、あるいは内縁の夫や妻(多大な貢献があっても)が、相続人としてまたは遺言によって財産を取得した場合には、これらの人が納めるべき相続税額は2割増しとなります。
これは、血の薄い人が相続により財産を取得することは偶然性が高い、「ラッキーだよね」と捉えて、相続税額が割増とされるのです。
また、孫については、存命する息子がいるにもかかわらず、これをさておいて孫へ財産を移転するということは、「相続税の課税を一回飛ばすことになるから、その分税金は割増しするね」という考え方によるものです。
ただし、「既に息子が亡くなっており、そのため相続人となった孫」の相続税に関しては、この2割加算の規定は適用されません。
贈与税額控除
以前(2020年10月号)に、『“生前贈与加算”すなわち“相続開始前3年以内にされた贈与”は、相続税の計算においてその贈与の額が相続財産に加算されて、相続税が計算されます。』と案内しました。
相続の時から遡ってちょうど3年前の日以後に、今回亡くなられた方から相続人が贈与を受ていた場合、その贈与時の額が相続税計算に加算されるわけですが、当時の贈与により贈与税を納めていた場合、今回の相続税負担と合わせて二重課税になると懸念されるかもしれません。
もちろん、二重課税となるようなことはありません。
当時の贈与を今回の相続税の計算に取り込んで計算する一方、当時納めた贈与税は今回払うべき相続税に充当されます。
つまりこの分は既に相続税を前払いをしていたものとして、今回納める相続税から控除されるのです。
もちろん、当時納めていた贈与税が無かったのなら、控除できる贈与税はないことになります。
ですから、例えば、相続開始前3年間に渡って、毎年110万円の贈与を受けていた場合、110万円×3年の相続税の課税財産が増え、贈与税額控除を受ける金額は無いことになります。
相続税対策が変わる?
最近、専門誌等で、相続税・贈与税の見直しの記事をいくつか目にしました。
税制大綱で相続税・贈与税のあり方見直しがうたわれているようで、今後の相続税対策にどう影響が出るのか気になるところです。
こちらについては、続報がありましたら、ご案内いたします。
