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相続税額の計算の流れ 修正申告した場合の計算例

相続税額の計算の流れ 修正申告した場合の計算例

2021年1月13日

2020年12月の相続税新聞に引き続き、相続税の計算方法について紹介します。
前回の内容は、相続税の計算方法を事例で解説!実際の相続の分配についても紹介 の記事で紹介しています。

ポイントは、①相続人が法定相続分に応じて取得したものとして、②亡くなられた方の財産に係る相続税の総額を求め、この相続税の総額を③各相続人が実際に取得した財産の割合に応じて各相続人が負担するというものでした。

ここで解説する事例について再度確認しましょう。
亡くなられた方の財産は下記の通りでした。
今回は、期限内申告したものとして検討します。(先月号と同じ仮定、数字を利用しています。)

亡くなられた方の財産額、計3人 の相続税の総額は?

2億円(財産額)-4,800万円(相続人3人の基礎控除額)=1億5,200万円

配偶者
1億5,200万円×1/2=7,600万円 7,600万円×30%−700万円=1,580万円


1億5,200万円×1/4=3,800万円 3,800万円×20%−200万円=560万円

相続税の総額
1,580万円+560万円×2人=2,700万円

上記財産を、遺産分割協議により、配偶者が財産2億円の内、1億2,000万円(60%)を
子Aが6,000万円(30%)、子Bが2,000万円(10%)を相続し、期限内に申告する場合

配偶者 2,700万円×60%=1,620万円 → 配偶者の税額軽減の適用により0円
子A 2,700万円×30%= 810万円
子B 2,700万円×10%= 270万円

※このケースでは「配偶者の税額軽減」の適用を受けられるものとしています。

税務調査があり修正申告した場合の相続税の計算例

その後の税務調査で、当初の申告では誰も知らなかった被相続人名義の普通預金口座があり、預金が1,000万円あることが判明しました。
相続人による遺産分割協議の結果、配偶者が取得することとし、修正申告を行いました。
どのようになるかというと、

亡くなられた方の財産額:2億円+1,000万円
相続人:配偶者と子供2人の計3人

2億1000万円-4,800万円(基礎控除額)=1億6,200万円
配偶者 1億6,200万円×1/2=8,100万円 8,100万円×30%-700万円=1,730万円
子   1億6,200万円×1/4=4,050万円 4,050万円×20%-200万円=610万円

相続税の総額
1,730万円+610万円×2人=2,950万円

財産の取得割合は、この1000万円を取得した配偶者は1億3000万円(61.9%)に、財産を取得していない子A 6,000万円(28.6%)、子B 2,000万円(9.5%)の取得割合こそ減るものの

配偶者 2,950万円×61.9% = 1,826万円 → 当配偶者の税額軽減の適用により0円
子A 2,950万円×28.6% = 843万円 → ( -810万円=33万納税)
子B 2,950万円× 9.5% = 280万円 → ( -270万円=10万納税)

このように、1000万円を追加取得した配偶者は、1億6000万円までの「配偶者の税額軽減」の適用が受けられ、相続税は増えませんが、子どもたちの相続税が増えることになります。