土地の所有者が、他人に建物を建てさせるという場合は、よくよく注意する必要があります。
一度建ってしまったら、相当の立退料でも払わない限り、なかなか取り返しがつかないだけでなく、借地権の設定に伴う権利金のやり取りがない場合には、思わぬ課税を受けかねないからです。
権利だけでなく、課税も要注意です。
自己の所有する土地に、他人(法人を含む)に建物を建てさせる場合、借主に借地権という強い権利が⽣じるので、避けるべきであるということは、皆さんもご承知かと思います。
課税では、その権利の強さから、借地権は財産価値があるものと捉えます。
この点にも注意して借地権を扱わないと、課税においても恐ろしいものとなります。
借地権が生じたにもかかわらず、借地権の設定の対価の支払いがない場合、借地権者は利益を得たことになって課税の可能性が生じます。
権利金を支払う慣行のある地域か
「権利金のやり取りなんてあまり聞かないし、課税なんて聞いたことないよ。」とおっしゃる方もいるかもしれません。
課税の話を聞かないのは、結果として、税務署はそのような動きをとらえきれないためではないかと思います。
路線価図を見ていただきますと、70Eとか45Dとか数字の後にDやEのアルファベットの記号があります。
税務上はこの記号があるところ、この辺りのほとんどの地域において、「借地権設定の対価の支払いの慣行のある地域」とされているのです。
借地権にかかる課税の回避方法は?
例えば、資金繰りの関係で個人が所有する土地に、自分が経営する法人の建物を建てる場合もでしょう。
しかし、借地権の課税の可能性は排除したい、このような場合に有効なのが、「土地の無償返還に関する届出書」です。
これを提出することによって、借地権設定に伴う権利金の支払いがなくとも、税法上借地権の価額の認識がされない、つまり課税を避けることができます。
当社の関与先様においても社⻑個⼈が所有する⼟地に会社の建物が建っているケースが散⾒されますが、この無償返還の届出書を提出しているところです。