退職金は、一時に高額な支出となりますので、事業経営においては、上手に利用したいところです。
「誰が」「誰に」「いつ」「どこから」支給するのか。この支給する側、受給する側の税務はもちろん、手続きなどもしっかり確認していただきたいと思います。
従業員退職金
従業員への退職金は、 “労働者”に対するものとして労働基準法において、退職金についての定めがある場合、就業規則に記載することが必要で、(別に「退職金規定」として定めることが多いかと思います)また、採用時には労働条件として明示しなければなりません。
税務では、退職金としての書類の備えつけ、源泉所得税の納付などを行えば、対税務署では、従業員に対する退職金の額について問題となることはないと思います。
従業員退職金の資金原資としては、中小企業退職金共済(中退共)などの共済制度に加入している会社も多く、東京都産業労働局のH30年のデータではアンケートを取った中小企業の半数ほどが中退共等に加入しているということでした。
中退共への加入により従業員の退職に備える場合、毎月の掛金支出がそのまま経費となり、また、一度の金銭支出を伴いませんので、資金面で安定的と言えます。
退職金の資金準備としては他にも、「確定給付型年金制度」や昨今話題の“企業版DC”と言われている「確定拠出年金制度」があります。
役員退職金
役員に対する退職金の取扱いは、労働基準法ではありません。
その手続きは会社法で定められており、定款の定め、あるいは、株主総会の決議によるとされています。
役員退職金は高額になることが多く、退職金原資として、倒産防止共済や保険積立金を解約して、原資の一部とする方法もよく用いられています。
特に、高額な退職金の支給は株価を押し下げる効果がありますので、株式の大幅な異動を図るまたとないチャンスになります。
しかしながら、ある程度の退職金を支給したい場合には、その退職の時まで、役員報酬を高めに維持しておく必要があります。
「年金ももらえるから、自分の役員報酬を下げて、後継者の役員報酬を上げてやって」と言われることもありますが、株価押し下げの観点からは下げたくないところです。
一方、高額な役員退職金は、その金額の多寡がしばしば税務署との聞で問題になります。
「過大役員退職金」とされ、その一部が退職金として損金として認められないと、その認められなかった分について、余計な法人税を納めることになってしまいます。
金額以外にも、現物支給がある場合や分割支給する場合はどうしたら良いかなど、役員退職金は論点が多いので、様々な角度からの検討が必要となります。
もらう側の検討
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