事務所通信2021年8月号 これも電子取引になるの?電子帳簿保存法の改正と電子取引の種類 の記事で、「“電子取引”は、2022年(令和4年)1月1日以降、電子保存しなければならない」そして「どのようなものが電子取引となるのか」をご案内しましたが、いよいよ来月からとなりました。
ここでは、電子取引の原本の保存方法、従来の紙保存との一元化について紹介します。
2022年1月から必要な対応なので、しっかり確認しておきましょう!
電子取引では電子データそのものが原本になる
電子取引として、クレジットカードの利用やAmazonなどのネット購入などが該当することは承知していたものの、数社で具体的なヒアリングしたところ、思った以上に電子取引がありました。
仕入や外注に係る請求書の授受をクラウドサービスを利用して、電子的に行っているものが散見されたのです。
これまでは、電子取引に該当するものも“紙で打ちだして保存”でも問題ありませんでした。
PDFファイルを紙出力して保存していた方も多いと思います。
今後はこの“電子データそのものが原本”となり、このデータを法律が求める形で保存することが必要となります。
この場合、紙で出力した電子取引は参考扱いとなってしまいます。
電子データの保存方法は?
電子帳簿保存法の改正は、「事業年度の途中であるとか関係なく、すべての事業者において、2022年(令和4年)1月1日以降の電子取引については、電子データで保存しなければならない」というものです。
電子取引の原本(電子データ)の保存方法ですが、2つ考えられます。
- 専用ソフトを利用して保存する
- 専用ソフトを利用しない場合、電子取引についての㋑事務処理規定を整備したうえ、㋺ファイル名に日付・取引先名・金額を規則性を持って保存する
1月1日以後の対応を改めていかなければなりません。
電子または紙のみに一元化できるか?
2022年(令和4年)1月1日以後の原本は、多くの企業で紙と電子の2系統が存在することになるでしょう。
紙または電子の1系統にしたい場合、電子取引を完全に排除して紙のみの原本とするか、紙による証憑を全てスキャンしてすべての原本を電子化するかのどちらかになります。
紙のみを原本にする場合、Amazonなどのネット取引は行わず、ネットで入手する請求書・領収書の全てを紙で打ち出すことになりますが、全ての相手先企業が対応してくれるかという問題があります。
全ての原本を電子化する場合、紙の請求書・領収書をスキャンし電子化する手間が発生します。
データ保存量も増大することから、データを保存するクラウドの利用料が増加することなどが懸念されます。