年末調整の季節になってきました。
従業員にとっての年末調整とは、払いすぎた税金が戻るだけなのですが、「ちょっとしたお小遣いがもらえたような、少しうれしい機会」で、経理にとっての年末調整とは、「なかなか資料が提出されず気をもみ、提出されると即座に年間の所得税の計算・返金及び源泉徴収票の交付までを行う、年末年始の慌ただしい作業」ではないでしょうか。
扶養控除等申告書の記載は去年と同じで大丈夫?
毎年のことで従業員も慣れているでしょうが、今年になって代わった(異動が生じた)事項があるかもしれません。
年初に記入してもらった「令和4年分の扶養控除等申告書」の記載内容を、年末調整計算する際は、改めて各人に確認してもらってください。
これを怠って、安易に「去年と一緒」などとして計算してはいけません。
「実は扶養としていた子供が4月に就職していて、扶養から外れるべきであった」このようなことがあると、翌年の秋ごろに税務署から「是正してください」と連絡をもらうことになります。
再計算をして源泉所得税を会社が税務署に納付するとともに、会社は本人からその分の所得税を徴収する、という甚だ面倒な事態となります。
昨今ですと、同居老親が老人ホームに入ったという場合、同居ではなくなって「異動」となり控除額が変わることもありますので、注意が必要です。
扶養控除等申告書への記載の内容については、令和4年12月31日の現況となりますが、実際には見込みで確認を行うことになります。
なお、例外として、扶養親族としていた人が亡くなった場合、死亡のときの現況における判定により、その年までは扶養に含めて計算することができます。
それから、16歳未満の扶養親族は、所得税・住⺠税ともに扶養控除の対象とはなりませんが、住⺠税では必要な事項となりますので、しっかり記入してもらいましょう。
扶養親族については、扶養親族って誰のこと?条件もあるの? の記事で詳しく紹介しています。
所得の見積額
扶養に入るには、その年の所得が48万円以下でなければならないのですが、大抵の場合、扶養控除等申告書には「給与収入額」が記入されます。
その一方、所得額を記入する人も稀にいるので、注意が必要です。
なお、扶養の判定額が「所得金額38万円」というのは、令和元年まででした。