年末調整や確定申告が近づくと、「扶養に入れる」「入れない」といった話題が出てきます。
この扶養ですが、扶養家族という言葉は多くの方がご存知かと思います。
では、扶養家族に属する「扶養親族」という部類はご存知ですか?
今回は、扶養親族について紹介します。みなさんのご家庭に置き換えて確認してみてください。
扶養親族って何?
そもそも扶養控除とは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合に、一定の金額の所得控除が受けられる税制です。
では、扶養親族の対象となる「親族」はどこまでの範囲で、どのような要件があるのでしょう。
以下の4つが条件となります。
扶養親族となる条件
- 6親等以内の血族、あるいは3親等以内の姻族
- 納税者と同一生計であること
- 年間の合計所得が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
- 事業専従者でないこと
扶養親族の特徴
扶養親族は「6親等以内の血族、あるいは3親等以内の姻族」としています。
そのため納税者を基準として見ると、孫や祖父母も扶養対象となります。
配偶者は「3親等以内の姻族」に入りますが、配偶者控除の対象となるので扶養親族とはなりません。
扶養親族の要件である「同一の生計」とは?
扶養親族の要件に「同一の生計」とあります。
これは同一の生計であれば、同居でなくてもかまわないということです。
例えば、様々な事情から生活費や教育費の一部を負担しているなど、同居していなくても経済的な援助をしている場合、「同一の生計」とみなされ控除の対象となりえます。
年間の合計所得が38万円以下
扶養親族の要件として「年間の合計所得が38万円以下」とありますが、税法上、「収入」と「所得」は別のものです。
例えば毎月給料を受け取っている人の場合、収入金額から給与所得控除額を引いたものが所得となります。
パートアルバイトの給与のみの場合
パート・アルバイトのみの方における年間所得38万円以下とは、年間の収入が103万円以下のことです。
この場合、所得税がかからず扶養親族の要件を満たすことになります。
公的年金のみの場合、65歳未満か以上かで条件が異なる
それでは、年金受給者の場合はどうでしょうか?
- 65歳未満の親族がいて、その方の年金受給額が108万円以下の場合
- 65歳以上の親族がいて、その方の年金受給額が158万円以下の場合
この要件にあてはまる場合、所得税がかからず扶養親族になれます。
給与と年金の両方がある場合
今回の扶養親族の基準となるのは合計の所得金額です。所得が他にもある場合、その合計から考える必要があります。
給与と年金の両方がある場合の要件は以下のようになります。
ここでも65歳未満か、65歳以上かで条件が異なるので注意が必要です。
・65歳未満の親族の場合
(給与-65万円)+(年金年額-70万円)
・65歳以上の親族がいて、その方の年金受給額が158万円以下の場合
(給与-65万円)+(年金年額-120万円)
上記の算式で38万円以下の場合、所得税がかからず扶養親族になれます。
「扶養」については多くの方が経験していることですが、その枠を「親族」まで広げて計算できることは意外と知られていません。
6親等以内の血族、3親等以内の婚族で対象になる方がいる場合はぜひご確認ください。
扶養控除等申告書にある扶養親族の所得の見積額については、所得税申告書の書き方 収入と所得の違いは? の記事で紹介しています。