悩ましきもの。
急に出たる多額の経費。
社会保険の、月末土日に、
翌月初に払いたる。
製造業の、未使用材料に、
何らかの合理性を見つけて、
仕掛の金額をとらえて、
月末在庫を求めたる、
いと悩ましき。
枕草⼦⾵に社会保険の悩みを詠んでみました。
さて、月次業績把握の点で、従業員退職金や多額の修繕費などは、業績値がイレギュラーになり、また平均固定費が増えてしまいます。
在庫を捉えないのも問題ですが、どう捉えるかも問題です。
ここでは、経理の観点から社会保険料の算出の注意点を紹介します。
目次
①社会保険における健康保険・厚生年金の重要性
社会保険は、広く解釈すると、労災保険や雇用保険(これらをまとめて「労働保険」と呼びます)を含む概念になります。
また、確定申告における「社会保険料の控除」には、国民年金保険料や国民健康保険料も含まれるのを忘れてはなりません。
しかし、経理を担当する際に特に留意すべきは、「社会保険」の中でも特に重要な二つ、健康保険と厚生年金です。
これらは「狭義の社会保険」と呼ばれ、経理の観点から重要な役割を果たします。
②社会保険料の実際の負担
「社会保険料は労働者と雇用主がほぼ半分ずつ負担する」と一般的には言われています。
しかし、実際のところは少し違います。
一見微小な負担でも、会社側だけが「子ども・子育て拠出金」というものを0.36%負担しています。
端数処理の詳細はここでは一旦置いておきますが、このような差異も経理担当者は理解しておくことが大切です。
③社会保険料振替日と経理計上の注意
社会保険料の支払い方法として口座振替を選択している場合、振替日は月末日となります。
ただし、月末日が週末(土曜日または日曜日)に当たる場合、振替は翌月の初日に延期されます。
その結果、会社が負担する社会保険料を法定福利費として計上する日が翌月にずれる可能性があります。
このような日付のずれも確認しておくことが重要です。
④給与変動時の社会保険料の調整
給与の変動が生じたとき、社会保険料の調整は自動的には行われません。
変更から3ヶ月が経過し、届出が行われた後に、「4ヶ月目」から新たな社会保険料が適用されます。
ただし、会社によりその適用は「4ヶ月目」であったり、「5ヶ月目」であったりします。
このような事情を理解して、適切な時期に保険料の調整を行うことが重要です。
⑤社会保険料の反映のタイミング
年金事務所が指定する「4月分」の社会保険料は、5月末までに納付を行うことが通常です。
しかし、その「4月分」を、自社の給与からいつ差し引くかは会社によって異なり、「4月分」の給与から差し引く会社もあれば、「5月分」の給与から差し引く会社も存在します。
さらに、入退社や給与の変更が生じた場合の社会保険料の反映のタイミングも、会社ごとに違いが見られます。
自社の状況に応じた対応を行うことが重要となります。
⑥社会保険料の手続き遅延とその影響
入退社や給与の変動があった場合、手続きが遅延すると問題が生じます。
年金事務所の毎月の締め切り日に手続きが間に合わないと、その結果が翌月にずれ込んでしまいます。
このため、今月に納めるべき社会保険料が本来より過大あるいは過少となる可能性があります。
さらに注意が必要なのは、退社日が月の最終日かどうかによっても、1か月分の社会保険料の徴収額が変わる点です。
このような細かなルールを理解し、経理担当者は適切な手続きを行うことが重要です。
今回のまとめ
社会保険料の支払いや処理には多くの要点があり、経理担当者にとって重要な課題となります。
社会保険料は労働者と雇用主がほぼ半分ずつ負担しますが、実は会社側だけが「子ども・子育て拠出金」を負担します。
また、社会保険料の支払い日は月末日ですが、週末に当たる場合は翌月の初日に延期されます。
給与の変動が生じたとき、社会保険料の調整は自動的には行われず手続きが必要になります。また、遅延すると問題が生じます。
これらのルールやプロセスを理解し、自社の状況に応じた適切な対応が経理担当者に求められます。