ご承知の通り、コロナ禍を契機に、様々な書類でハンコが不要となりました。
税務申告書もしかりです。
とはいっても、税務では以前より、電子申告に伴いハンコは要らなくなっておりました。
そもそも紙で申告の時代であってもハンコは認印でよかったんですよね。(そのくせ訂正があると税務署にその認印を持参して、判を押しに行きましたが。)
相変わらずハンコがいるものがあります。
遺産分割協議書です。分割の内容に合意したという大切な証拠ですから、これは必要ですよね。
今回は、相続税の側面から見た遺産分割協議書の書き方について考えてみましょう。
遺産分割協議書とは
ざっくり言えば、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類です。
遺産分割協議には相続人全員の参加が必要で、話し合いによって遺産分割の方法と割合を決めます。
遺産分割協議書は、相続人全員が署名し実印を押す必要があります。
名義預金の遺産分割協議書の書き方
名義預金(借名預金)があった場合、相続税では、その預金の真の所有者を判断して、課税をします。
(例)今回亡くなった父が、孫名義の預金を持っていた場合
その資金の出どころや管理状態から、それは亡くなった父の財産と考えられる場合には、名義にこだわらず、父の相続財産として相続税が計算されるわけです。
この名義預金ですが、幸い、これまで巡り合ったことがありませんでした。
この場合、遺産分割協議書ではどのように表現したらよいのでしょうか?
「孫名義の預金は父名義の遺産であると確認する」と前置きしてして、その後にその名義預金の取得者を記載すれ
ば良いようです。
逆に、名義こそ父であるが、実は息子の財産であるという場合も同様に「父の遺産でないことを確認する」などと表現すれば良いようです。
遺産分割協議書に記載すべき内容は?
税理士が文面について助言する場合、相続税申告が意識されたものになりますので、本来なら協議書には入れなくても良いようなもの、例えば葬式費用の負担者を明記を依頼したり、あえて死亡保険金の受け取りについての記載をお願いするかもしれません。
逆に相続税申告では取得者の表記を必要としない、⾮課税となるお墓について触れた「⻑男が祭祀の承継する」という協議書を見たことがあります。
相続人間の関係があまりよくない場合、分割の時がお互いに協力の約束を取り付ける唯一の機会ということで、「分割成立の条件として甲は、○○○○に全面的に協力するものとする」と入れると良いというのを聞いたことがあります。
いずれにしましても我々としては、遺産分割協議書にある財産が、相続財産として洩れなく記載、計算されるように反映しなければなりません。