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【贈与税110万円の基礎知識】年末までに確認したい5つの重要ポイント

【贈与税110万円の基礎知識】年末までに確認したい5つの重要ポイント

2025年11月21日

今年も残すところあと2か月。年末が近づくと考えたいのが「贈与」のことです。
特に、贈与税には「110万円の非課税枠」があるため、年末は贈与の最終チェックをするタイミングとして非常に大切です。

この記事では、贈与税110万円の基本ルールから、実務でよくある誤解、そして法改正による7年ルールまで、整理してお伝えします。

この記事の重要なポイント
  1. 贈与税の判定は「受け取った人単位」で行われる
  2. 生活費や学費は贈与税の対象外
  3. 贈与契約書は贈与の事実を証明し、トラブル防止に不可欠
  4. 贈与は「日常的に使う口座間の振込」で行う
  5. 令和6年以降は生前贈与の相続加算期間が7年に

贈与税の110万円控除とは?基本的な仕組みを理解しよう

贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に受けた贈与の合計額に対して課税される税金です。この制度を「暦年課税」といいます。

重要なポイントは、年間110万円までの贈与には税金がかからないということです。
これを「基礎控除」と呼びます。

贈与税の判定は「受け取った人単位」で行われる

ここで注意したいのが、贈与税の判定は 「もらう人」を基準に計算することです。
単純に「1人から110万円まで」ではない点に注意しましょう。

【例】Aさんが複数の人から贈与を受けた場合

贈与者贈与額
父から110万円
母から110万円
合計220万円

この場合、Aさんは年間220万円の贈与を受けたことになり、110万円を超えた分(110万円)に対して贈与税がかかります。

贈与額が110万円を超えたらどうなる?贈与税の計算方法

110万円を超えた場合の贈与税は、超えた金額に応じて10%〜55%の税率で計算されます。
以下に贈与税の速算表(一般贈与財産)の一例を提示します。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円

例えば、220万円の贈与を受けた場合:

  • 課税対象額:220万円 – 110万円 = 110万円
  • 贈与税:110万円 × 10% = 11万円

生活費や学費は贈与税の対象外

仕送りや学費など、扶養義務者が通常必要とする生活費については、贈与税の対象になりません。
ただし、「生活費名目で多額の資金を渡し、そのまま貯金している」という場合は課税対象になる可能性があります。

非課税となる主な贈与
  • 大学の学費
  • 毎月の仕送り
  • 結婚式の費用援助(常識的な範囲内)

贈与契約書は贈与の事実を証明し、トラブル防止に不可欠

「贈与が本当にあったかどうか」は、後々トラブルになることがあります。
110万円以下の贈与でも、毎年必ず贈与契約書を作成することをおすすめします。

贈与契約書の作成ポイント

  • あげる人ともらう人が両方署名する
  • 未成年の場合は保護者が代理で署名してよい
  • 「今年・誰に・いくら贈与したか」を毎年作成

「10年間110万円を贈与する」という1枚の契約書を作りがちですが、これは実務では望ましくありません。毎年の個別契約が基本です。

贈与は「日常的に使う口座間の振込」で行う

贈与は、現金の手渡しではなく、双方が普段から使っている銀行口座間で振り込む形が最も安全です。
やってしまいがちなNG例も確認しておきましょう。

名義預金に要注意|贈与が認められないケース

よくある失敗例が「名義預金」です。
祖父が孫名義の口座を作り、通帳と印鑑を祖父が管理している場合、これは贈与とは認められません。
贈与が成立するためには、もらった人が自由に使える状態になっている必要があります。

正しい贈与の実行方法

  • あげる人:普段使っている口座から振込
  • もらう人:本人名義の普段使っている口座で受取
  • 贈与した資金を受贈者(もらった人)が自分で管理する
  • 一部でもそのお金を実際に使っている

こうした「実態」があることで、贈与として明確に立証できます。

令和6年以降は生前贈与の相続加算期間が7年に拡大

生前贈与を行う目的として「相続税対策」が挙げられますが、ここで絶対に押さえておきたい改正があります。亡くなる直前にされた贈与は、それが110万円以下であっても、相続税の計算に取り込まれます。

以前:相続開始前「3年以内」の贈与が相続財産に加算
令和6年以後の贈与:相続開始前「7年以内」の贈与が相続財産に加算

これは非常に大きな変更です。

新ルールの具体例

毎年100万円を贈与、10年後に亡くなった場合

  • 直前7年分=700万円 → 相続財産に加算
  • 8〜10年前の300万円 → 加算対象外

なお、4〜7年前の贈与には合計100万円の控除枠が認められます。

相続時精算課税は110万円の暦年課税とは仕組みが異なる制度

贈与税110万円の“暦年課税”とは別に、相続時精算課税制度という選択肢もあります。

  • 2,500万円まで非課税
  • その代わり、将来の相続時にすべて合算して精算

という仕組みのため、使い方が難しく、慎重な判断が必要な制度です。

年末の贈与は「金額・契約書・口座管理・相続計画」を総合的に確認することが重要

年末の贈与を検討する際、110万円控除を活用する場合は、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 年間110万円までは非課税(もらう人基準で計算)
  • 贈与契約書を毎年作成する
  • 銀行振込で証拠を残す
  • 名義預金にならないよう注意
  • 相続開始前7年以内の贈与は相続税の対象になる”

気をつけるべき点が多くあります。
「110万円だから問題ない」と思い込んでいると、思わぬ課税や相続トラブルにつながることもあります。
贈与の検討は、ぜひ専門家に相談しながら進めてみてください。