死亡保険金の相続税対策における利点と注意点 の記事では、主に相続により取得した死亡保険金や未支給の保険金について紹介ました。
これらは生命保険に限らず、損害保険であっても同様に相続税の課税の対象となります。
ところで、“保険金”さえ注意すれば良いかというと、そうではありません。
“保険料”にも注意が必要です。相続があった場合、通帳を預からせてもらい、保険金の入金だけではなく、出金の欄の保険料も確認します。
保険金ではないのに、相続財産になる保険とは?
保険料の支払いがあることをもって相続税が課税がされるわけでは有りません。
次の要件を満たす保険契約について、保険金の入金がなくとも相続税の課税財産として計上する必要があります。
- 要件1:保険金の支払い事由がいまだ発生していないこと
- 要件2:今回亡くなられた方が保険料を支払っていたこと(契約者かは問わない)
- 要件3:もし、その相続の時に解約したとしたら、戻り(解約返戻金)があるもの
なぜ相続財産に? そして、いくら?
このような保険契約について、多くの場合、相続を機に解約するのではなく、契約を名義だけ変更して継続することが多く、この場合にはお金の入金がありません。
しかし、相続の時点で解約すると返戻金がもらえるのであり、解約しないのは相続人の判断にすぎず、その保険契約には財産価値があるため、「相続の時に解約したならば、いくらの戻りがあるのかという金額(解約返戻金相当額)」を相続財産として計上します。
この説明をしますと、ほどんどの方は驚かれ、納得というか、「そこまでも税務署は課税してくるんだ」と感心されます。
このように相続人の方は相続財産としての認識がないことが多く、漏れやすいため、通帳の保険料の支払いを見させてもらい、このような保険契約がないか確認することとなります。
注意したいJAの建更(建物更生共済)
特に農家の方は、自宅に加え経営するアパートなどで複数の建更の契約をしていると、解約返戻金額がまとまった額になります。
過去の税務署の調査でも、農協との取引があると、要確認項目となっているようで、しっかりチェックされました。