相続税新聞

2015年第3号

相続対策

 相続対策をしました。いえいえ、相続税対策ではありません。たった今、万が一にも自分が亡くなった場合に、残された家族は各種の手続きをしなければなりませんが、その負担軽減の対策です。先日、相続のあった方が、使っていた口座はともかく、たいして使っていない残高の少ない口座の残高証明書の取得や解約手続きがいくつもあったのでとても大変だったとおっしゃっていました。そこで、自分も振り返ってみましたら使っていない預金口座・証券口座がありましたので、今後も使う見込みがないものは解約しました。手続きは銀行印と免許証を持参して窓口へ赴いて、時間も若干かかりましたが、この手続きを遺族が行うとなると戸籍関係の書類やら印鑑証明やら必要で、もっと大変な作業になってしまいます。みなさんも“相続対策”なされてはいかがですか?

国外財産調書

 税務署は様々な手段を使って、財産の把握をしております。しかしながら、個人が容易に海外へ渡航でき、また、インターネットを使っての取引や管理ができる昨今、海外の財産まで把握するのは難しいようです。そこで、平成26年より、国外財産を5000万円超所有する人は、翌年の3月15日までに「国外財産調書」を提出しなければならないことになりました。虚偽の記載をした場合や提出しなかった場合には、1年以下の懲役か50万円以下の罰金となります。また、その国外財産について提出がなく所得税の申告漏れがあった場合には、過少申告加算税が5%増しとなります。逆に提出していて、所得税・相続税の申告漏れが生じた場合には、過少申告加算税を5%軽減するというインセンティブが付されています。
 ところで、国内の金融機関の口座で管理されている外国証券や外貨預金は、この5000万円か否かの国外財産には含まれませんのでご安心ください。
 先日、この国外財産の申告をしないために5%増しとなった初適用のケースがあったと新聞記事にありました。海外財産のある方はご注意ください。

相続時精算課税

 「相続時精算課税」は、生前の贈与について、2500万円までは贈与税を課さず、相続時まで課税を繰り延べ、相続税計算の中で贈与財産を「贈与時の価格」で相続財産に含め、相続税を計算する制度です。この制度そのもので、相続税を減少させる効果はありません。それどころか、一度相続時精算課税を適用すると、その贈与をした人との間では、その後110万円まで非課税となる一般の贈与ができなくなります。
 この制度のポイントは、「贈与時の価格で相続財産に含める」点です。贈与財産の価格が贈与時に比べて相続時に上昇していても贈与時の価格で相続税計算されますので、相続税を抑える効果があると言えます。しかしながら、相続時に下落している場合にも贈与時の価格で計算されるので、相続税が高くなってしまい、逆効果となるケースもあるでしょう。また、相続がいつ起こるかわかりませんので、何十年も経ってからの相続でも忘れずにこの贈与財産の精算をしなければなりません。このように予測が難しく、長期にわたる制度ですので慎重な検討が必要です。
 必ず財産の価格が上昇するものや、贈与により所得を移転できるもの、基礎控除額以下の財産しか持っていない人などが適用する場合には有効と言えます。しかし、先般の基礎控除引き下げがあったことにより、相続税申告が必要ないつもりが、必要となった人もいるかと思います。
 他の税理士さんによると、調査では精算課税適用後の預金の動きについて、数万円単位の資金移動までチェックが入るそうです。

2015年第2号

相続は大変です

 相続税申告においては、相続財産の評価が作業の中心となりますが、タイムスケジュールが厳しくなるケースがあります。すでに遺産分割が(ほぼ)決まっていて申告をする場合、分割が決まっていますから、粛々と相続財産の評価を行い、各相続人の取得財産に応じて負担する税金を計算することとなります。
 これに対し、時間的にきついのが、被相続人の一通りの財産の評価額を見てから、各相続人への遺産分割を検討する場合です。この場合、まず出来るだけ急いで相続財産の評価をし、これを案内し、相続人の間で分割内容を決めていただきます。それから、その分割に応じた税金を案内し、その上でその内容の分割協議書を用意し、押印の手配をします。このように相続財産の評価額算出後に、検討・やり取り・これに応じた対応と時間を必要としますので、時間がどうしてもタイトになります。

相続税の申告は

 相続があっても、預貯金や不動産など名義をそのままにしておくと、いつまでも“未相続”の状態で、とっさの利用・処分が難しくなります。相続税申告の有無を問わず、相続の手続きは必要です。遺言や遺産分割協議に基づいて、名義変更を行っていきます。
 相続税は相続財産の額が下記の基礎控除額以下ならば、相続税の申告の必要はありません。
法定相続人が1人の場合 3,600万円以下
法定相続人が2人の場合 4,200万円以下
法定相続人が3人の場合 4,800万円以下
法定相続人が4人の場合 5,400万円以下
法定相続人が5人の場合 6,000万円以下
 なお、相続財産の額が上記の基礎控除額を上回っているが、配偶者の税額軽減などの特例を使った結果、相続税額が0円となる場合には、相続税の申告書の提出が必要です。
 申告書の提出が必要となった場合には、亡くなった日から10カ月以内に相続税申告書の提出と相続税を現金により納付することが必要です。
 なお、10ヵ月の申告期限までに分割されなかった場合でも、各相続人が法定相続分で取得したものとした相続税申告書の提出及び相続税の納付が必要になります。

債務控除と葬式費用

 相続は被相続人の権利義務を一切承継しますから、財産だけではなく、債務も承継することになります。この場合、相続税の計算では、相続財産の額から債務の額を控除することができます。
 この債務ですが、相続があった日(亡くなられた日)現在の金融機関からの借入金、事業上未払金、未払税金など、死亡時までに生じているものを控除することができます。しかしながら、遺産分割のために要した弁護士費用などは、死亡後に生じた費用ですので、債務として控除することはできません。
 また、お墓や仏壇・仏像などは非課税財産として、相続財産の額に含まれませんので、これに合わせ、これら非課税財産に関する未払金は債務として控除できません。
 また、相続財産からは債務の他、葬式費用も控除することができます。葬式費用には、お坊さんへの謝礼などは領収書が無くても控除できますので、メモを残すようにしてください。
 一方、香典の収入は課税されないのに合わせて、香典返し費用も控除できません。また、49日の費用など事後的なものは控除できません。

2015年第1号

創刊のご案内

 相続税についての世間の注目がとても高まっています。これまで、相続税関連ネタも事務所通信にて随時取り上げてきましたが、この度「相続税新聞」として、独立して創刊することと致しました。
 正直、毎月発行となるか、季刊となるかもわかりませんが、続けていきたいと思います。よろしくお願いします。

建物の評価

「アパートを建てると節税になります。」とよく聞くかと思います。その仕組みをご案内します。ポイントは2つ、「建物の評価」と「貸家の評価」です。
 建物の相続財産としての評価額は、「建築価格マイナス減価償却額」ではありません。建築価格とは全く無縁の「固定資産税評価額」により建物の評価額が算出されるのです。この固定資産税評価額は建物の造りから積み上げによる点数から算出されます。例えば、床は畳かフローリングかとか、天井はどうだとか、水回りの間口はどれくらいか等、様々な項目が採点されて求められます。
 このように求められる固定資産税評価額は、新築であっても、建物の建築価格の5割から7割程度の評価額となります。つまり、1億円で建物を建築しても、建てた瞬間から、その建物は相続財産としては、6000万円(例えば6割の評価額だったとして)という評価になるのです。
 1億円を現金で持っていても、そのまま1億円の評価ですが、1億円を使って建物を建てると6000万円の財産を持っていることになるのです。
 例えば、財産額が2億円、法定相続人が子2人の場合には、3340万円の相続税負担ですが、上記の建物を建築した場合には、財産額が1.6億円となり、相続税の負担は1200万円減少し、2140万円となります。

 さらに、その建物を貸し付けた場合、相続財産の評価においては、固定資産税評価額の7割の評価となります。なぜ、7割評価になるかと言うと、借主さんには借家権が存在するからです。貸主都合で立ち退いてもらう場合には、立退料を支払う必要があるなど制約があるからです。
 ですから、上記の例で言えば、6000万円の建物がさらに7割の4200万円という評価となります。その結果、相続税額はさらに540万円減少し、納めるべき相続税額は1600万円となります。

 賃貸アパート建築前 財産評価額   2億円 相続税額 3340万円
 賃貸アパート建築後 財産評価額 1.42億円 相続税額 1600万円
 ∴相続税が1740万円減少

 また、土地も貸家に供している土地として減額評価されますので、さらに相続税は少なくなります。
 ただし、1点注意すべき点があります。相続時点において空室がある場合です。投資物件として考えた場合には、満室の方が価格が高くなり、空室があると低くなるのですが、相続税評価においては、逆に満室の方が低くなり、空室があるとあると高く評価されてしまいます。これは、空室の場合、その部屋について借家権という制約がないので、財産性が高まると考えるからです。満室の場合、固定資産税評価額の7割評価(×0.7)ですが、例えば、10室のうち2室が空室の場合ですと、×0.76での評価となります。また、10室のうち5室が空室の場合、×0.85の評価となってしまいます。土地も同様に掛け率が変わってしまいます。

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