事務所通信

2018年5月号

平成21年度に導入された事業継承税制(現行制度)

中小企業の経営者年齢の分布

上の図は、2017年度版中小企業白書の中小企業の経営者年齢の分布です。

最頻値(最も多い値)がこの20年間で19歳上昇したとのことです。
これは、中小企業において事業承継がほとんど実行されずに20年が経過したと言えると思います。

税制では平成21年度より「事業承継税制」が導入され、先代経営者から後継者への非上場株式の贈与又は相続について、その株価に係る納税を猶予することにより、税制面からの事業承継を促そうとするものでした。

しかしながら、現行の制度は人気がなく、近年で年間4~500件程度の適用でした。

不人気の理由は、その使いづらさです。
納税猶予の対象は、発行済株式の3分の2迄の、その80%まで、つまり最大で株価の53%(=2/3×80%)までしか納税が猶予されないというものでした。
また、その対象となる贈与又は相続は、先代の経営者から現代表者に対する1対1のものだけでした。

さらに、贈与あるいは相続後5年の間は、従業員の雇用を8割以上確保できなければ、猶予が外れ、猶予税額を全額納税しなければならず、さらに、業績不振により解散した場合で株価が下がっていたとしても、事業承継時の猶予税額の全額納付をしなければならないというものでした。

整備された事業継承税制(特別措置)

平成30年度の税制改正において「事業承継税制」は、現行制度を大幅に緩和された「特例措置」として整備されました。

まず、納税猶予額ですが、全株式につき、その100%が猶予の対象とされました。
先代の経営者以外の人からの贈与も可能となり、もらい手となる後継者も3人まで可能となりました。
従業員の雇用を8割維持できなくても、一定の要件の下、全額納付をしなくてもよく、また、経営環境悪化による解散の場合、株価を再計算し、当初税額との差額は減免されます。

ただし、この特例措置は時限的です。
簡単に言えば、この5年以内に特例措置を適用したいと届け出て、10年以内に贈与をすることです。

柔軟で使い勝手の良いものとなっています。
是非とも検討いただきたいのですが、もちろんそうはいっても、注意すべき点はいろいろあり、お客様ごとに検討が必要となります。

事業承継

ビジネスマンのシルエット

事業承継税制は特例措置の創設により、制度としてはとても使いやすくなりました。

しかし、「事業承継」は税制以外にも考えるべきことが、多くあるのではないでしょうか?

これから承継する場合、借り入れ・担保の承継、ノウハウや人脈、取引先の承継、先代経営者の引き際・その後の関わり方など、経営そのものの承継を考えなくてはなりません。

すでに承継されている場合、今後の既存事業と新規事業(第2創業)の検討、組織再編が必要か、リーダシップや従業員との関係性、新しい風土の醸成、右腕の育成などがあるでしょう。

今回の改正により、株式に対する税金の問題がクリアできても、遺留分や他の相続人との財産のバランスを解決するものではないので、改めて相続対策が必要ともいえるでしょう。

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