事務所通信

2015年3月号

年収1億円

 よくテレビ番組で「年収1億円!」などと取り上げたりします。その時気になるのが、その人の職業は何かということです。サラリーマンで年収1億円なら所得税・住民税が半分とられても、5000万円の手取りですからスゴイといえますが、個人事業者で「年収1億円」といっても、もし、この年収というのが売上高のことで、例えば極端な話、経費が9500万円かかる商売だったりすると、所得は500万だからどうなんだろうと思えますので、テレビにどっちだよとツッコミを入れながら見ています。

各種所得

 所得税の計算では、その名のとおり「所得」をもとに税金が計算されます。
まず、所得発生の仕方によって、事業所得、給与所得、譲渡所得、退職所得、一時所得、雑所得など各種所得の種類に区分されます。
 それぞれの収入から費用や各種の控除がされてそれぞれの所得の金額が求められます。そしてそれら所得の合計から医療費控除や社会保険料控除、扶養控除などを引いて課税所得を算出し、これに税金が課せられるのです。

~「売上-費用」のような所得~
事業所得=収入(売上)-必要経費
譲渡所得=売却額-(未償却取得費+譲渡費用)

~独自の控除から計算される所得~
【給与所得】年間の総支給額-給与所得控除額
給与の額に応じた“必要経費的な”金額を控除

【退職所得】(退職金-退職所得控除額)÷2
<控除額>
勤続20年迄 勤続年数×40万円
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

【公的年金 雑所得として】年金額-年金控除額
<控除額>
65歳未満 最低70万円 65歳以上 最低120万円

103万円

 独自の控除のある所得は、有利なことが多いと思います。事業所得の場合、帳面付けをした費用の実額が控除されて所得とされますが、給与所得の給与所得控除額は、給与の額に応じで自動的に算出されます。事業所得のように帳面付けなども必要とせず、実際に経費があったかどうかも関係ないのです。例えば、年収600万円の場合174万円が、年収300万円の場合108万円が自動的に控除されるのです。
 さて、この給与所得控除額ですが最低65万円あります。また、本人分の「基礎控除」が38万円がありますので、良く聞く、「年間給与が103万円までは所得税がかからない」とは、
103万円(年間給与収入)-65万円(給与所得控除額)=38万円(給与所得額)
38万円(給与所得額)-38万円(基礎控除額)=0円(課税所得⇒∴所得税0円) という計算によるものです。
 この103万円という金額は①当人に所得税が課せられることはありません。また、自分の所得税だけでなく、②他の家族の扶養に入るための要件「その年の所得が38万円以下」も満たします。さらに、③企業での扶養手当対象者の基準の多くが年収103万円以下ですので、3重の意味があります。ですから、年末が近づくとパートさんが一生懸命仕事時間を調節し始めるのです。
なお、上記に述べましたように、個人事業者の場合には、①事業所得には給与所得控除のようなものが無く、②妻への給与を支給すると、その額が103万円未満でもその妻は扶養控除の対象となることができません。

2015年2月号

貯蓄の最大化

 先日の新聞記事で、個人は「収入-支出=貯蓄」ではなく、「収入-貯蓄=支出」で考えるべきだとありました。一瞬、「?」となりましたが、すぐに「なるほどな」と思いました。算式を並び替えただけではあるのですが、最初の算式では、収入のうち「必要だから」と支出した残額が、結果として貯蓄となります。これに対し、後の算式では、収入から、先ず貯蓄が確保され、残った額のうちから支出が行われます。この捉え方の違いは、人の消費行動を変え、ひいては「貯蓄」の額が変わるだろうことに気付かされました。

粗利の最大化

 ところで、事業者における捉え方を次のように変えたらどうでしょうか。
通常「売上-経費=経常利益」と言う算式のところ、このうち「経費」を「変動費」と「固定費」の2つに区分して「売上-変動費=限界利益(粗利益)」と「限界利益(粗利益)-固定費=経常利益」の2つの算式で捉えます。そして、このうちの「経常利益」の部分ではなく、「限界利益(粗利益)」にフォーカスを当てるのです。
  と言いますのも、「経常利益」の確保のために必要以上に「固定費」を意識されるケースが見受けられるからです。すでに皆さんは固定費を本当に、相当に節減されています。そのため、今後のその効果額は限られたものとなってしまいます。もちろん、これはこれでとても大事なことです。しかしながら、今までよりも少しでも「限界利益(粗利益)」を創出すること、すなわちその基となる「売上」と「変動費」に対するアクションに意識を向けることが必要と考えるからです。
 売上増加が難しい昨今ではありますが、「限界利益(粗利益)」を確保することにより、人件費を厚くすることに使う、必要な経費を必要以上に我慢することなく使う、将来のために内部に留保する、という選択ができるのです。
この考え方は、変動損益計算と言い、皆さんが税務署や金融機関に提出する「決算書」とは、若干異なります。違いは次の通りです。

変動損益計算

~変動損益計算書~
売上高 企業の主たる目的の営業活動により得られる収入、定款の事業目的の記載内容
△変動費 商品・材料などの仕入等のように、売上の増加と共に増加するコスト
限界利益 売上が1単位増えると増加する利益 【限界利益率=限界利益÷売上高】
△固定費 人件費、事務経費、支払利息等の間接的なコスト、売上の増減に関係なくかかるもの
経常利益 本業による利益に財務収入・費用、本業に付随する損益を加減した事業全体の利益

~損益計算書~
売上高 同じ
△売上原価 売上に係る直接的コスト
売上総利益 差し引き
△販管費 本社事務人件費・経費
営業利益 本業による利益
±営業外損益 支払利息・雑収入
経常利益 同じ

2015年1月号

所長が変わりました

 本年の1月1日を以って、事務所所長を鈴木征剛から鈴木尚剛に交代いたしました。何年も前から、話には出ていたのですが、事務所を代表する税理士の変更手続きが煩雑であるなどの理由からナアナアにしておりました。ところが、昨年の夏に、父が急きょ入院・手術ということになり、万が一があってからではとても大変だとあわてて、交代することにしました。それが無ければ、まだ先送りしていたかもしれません。呼称が問題になりまして、他の事務所を真似して「会長」とすることになりました。いずれにしましても、変わるべきその時が来たと思いまして、今後、より一層お客様のために、仕事に邁進していきたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

銀行さんからの質問

Q.なぜ、税理士は役員報酬を変えたがらないの?
A.会計と税務は「=(等しい)」ではなく、「≒(ほぼ等しい)」ものであって、多くはないものの「≠(等しくない)」部分があります。その典型として、まず役員への賞与で説明します。
 会社に多額の利益が出ると、税金負担が大きくなるので、役員賞与を出して利益を圧縮し、税金負担を軽減したくなります。役員賞与は、会計上は取締役会の決議等のしかるべき手続きさえ踏めば、その支出を経費として計上することができます。しかし、税法ではこのような支出は、「利益調整的」とされ、税金計算上においては、経費(これを損金といいます)としては、認められないことになっています。

 右表は極端な例ですが、税引前利益は0でも、役員賞与1,000が税法上損金とされないため、税法上の利益(これを所得といいます)が1,000と認識され、これに税率を乗じた税金の負担が生じることになります。

税前利益は0なのに、課税所得は1,000とされ、税金が生じたため、税引後利益が-300となっています。

 さて、役員報酬ですが、その増額(減額)は、期首から3カ月以内であれば、その変更による差額も損金となりますが、それ以後の変更ですと、変更による差額分が損金とはされません。

 右図の例ですと、期首から6カ月を経過しての変更ですので、会計(決算書)上の役員報酬は480万円ですが、税法上の損金とされるのは、30万円×12ヵ月=360万円とされ、差額の120万円は課税所得として税金の対象となります。
ただし、取締役が代表取締役になった等、一定の要件を満たす場合には3ヵ月経過後でも認められます。

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